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名タクに入社して一年が過ぎ、「地理にもすっかり詳しくなりました」と、充実した毎日を楽しそうに語る営業係の出口(いでぐち)孝さん(49)。隠れわざは“介助”です。
名タクに入社する前は、ホームヘルパーとしてデイサービスセンターに勤務。お年よりの送迎や入浴、レクリエーション指導など、高齢者福祉に携わってきました。
しかし体を酷使する仕事のため、以前から痛めていた腰痛が悪化。そこで介助タクシーの充実に力を入れる名タクで、介助の技術を生かそうと、転職を決意しました。ですから介助の技術はプロと同等です。
「高齢者や障がい者の方は、どうしても家に閉じこもりがちです。もっと外に出て、清々しい気持ちを味わっていただきたいと思うのですが、実際のところ車椅子から自動車への移動や、歩行の介助など、外出するとなると、ご本人はもちろん、付き添う人も大変です。そんな時、少しでもお手伝いできれば嬉しいですね」と出口さん。
介助には当然コツがあって、介助の上手下手で、介護される人の安心感や快適さが決まります。とくに高齢者の場合、介助の際に少し力を入れただけで骨折することもありますし、歩行の介助も、その方の状態に合わせて、後から腰を支えたり、ひじを支えたり、方法はいろいろです。
「いい介助をするには、やはり経験を積むのが一番。私は元プロとして、ひと味違う介助の技を発揮したいと思っています」。
三歳でお父さんを亡くし、お母さんに育てられた出口さん。福祉に関心を持ったのも、お母さんへの感謝と共に、母子家庭を温かく見守ってくれた社会への恩返しの気持ちから。ですからの人への優しさ、心配りはひときわです。
そんな出口さんの気持ちがお客さまにも伝わり、最近は通院やちょっとした外出に、出口さんを指名するお客さまや、常連のお客さまから紹介されたという新規のお客さまも増えているそうです。
「もっと多くの方に介助タクシーの存在を知っていただき、外出のお供に、気軽に使っていただければと思います。それにはまず自分がいい仕事をすることと、肝に銘じています」と出口さん。
毎日の仕事に大きなやりがいを感じているようです。 |
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