この記事は2005年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

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 「特技というより、まだ趣味の段階なんですよ。本当に私でいいんですか」。こう、謙遜に話し出してくれたのが、音楽大好き人間を自称する営業係(乗務員)、森崎浜雄さん(59歳)です。

 二年ほど前、行きつけの喫茶店のマスターから、「お客様にいただいたんだけれど、やってみない?」と渡されたのが、二本の尺八です。

 これまではギターが趣味で、和楽器は手にするのも初めて。いきなり吹いても、もちろん音は出せません。しかし、それが森崎さんの意欲に火をつけたようです。「やってみたい!」。まったくの一目惚れでした。

 以来、暇さえあれば指で穴を塞いだり、開いたりして、ドレミの音階を探し出していきます。そして半音上げたり下げたり。時にはギターで覚えた曲を演奏したり…。どれもこれもすべて独学です。

 「プロの演奏家になるなら、先生に習う必要もあるでしょうが、私はあくまでも趣味。流派にとらわれず、中日の落合監督じゃないですが、私も自分流を楽しみたいと思いまして」と森崎さん。

ひとつひとつ自分で音を探し出し、それを自分のものにした時の達成感は、人に教わっていては味わえないもの。文字通り、苦労している時が一番楽しいのだそうです。

 ちなみに森崎さんの自分流は、仕事にも共通しています。もちろん会社では、営業係が仕事をしやすいようにさまざまなサポートをしてくれますが、それプラス自分で考えたり、工夫することが、成績を伸ばす秘訣です。

「どの時間帯にどう走れば、お客様に出会えるか。それは経験の中から自分で考え、学んでいくものなんですね。いつも人の真似をしたり、後についていてはダメなんです。だから仕事も自分流というわけです」。

 今、自信を持って披露できる楽曲は、奥さんのふるさと宮崎の民謡である「ひえつき節」と「刈干切唄」の二曲。これからはレパートリーを広げることにも力を入れながら、「いつか本当の意味で自分流を確立したい。そして自分で自分の演奏に酔うのが目標です」と、楽しそうに語ってくれました。

 そしてもうひとつ、そろそろ手を染めようとしているのが、尺八よりも体力がいる尺七です。そのための腹筋運動も始めたそうです。



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