この記事は2005年12月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

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平工 清和(北部営業基地)
 タクシードライバーに転身して1年になる。数年前、夫婦で喫茶店を始めたのだが、お得意客の一人が名タクに勤務されていて、それが縁になった。その後、店は家内に任せて、新しい世界に踏み出したわけだ。

 店を開くまでは、牛乳工場で管理者を務めていた。こちらは30年以上になる。牛乳だけでなく、コーヒー飲料も生産していたから、それが喫茶店開業の下地になっている。これも縁のつながりだろう。

 牛乳の生産管理はパソコンで行うから、当然ながら表計算などのソフト操作に明るくなった。これがタクシー業務では随分役に立つ。

 パソコン初心者のお客さまの相談相手になれるのも効用だが、大助かりなのはなんといってもインターネットである。

 まず市内各地のイベント情報を検索しておく。しかるのちにコンサートやら舞台やらの終了時刻を見計らって会場付近を流すのである。お客さま獲得にダイレクトに結びつく。これも牛乳工場がパソコンと縁をつくってくれたおかげだ。

 日曜大工も趣味のひとつだが、これも牛乳工場で習い覚えた。工場では営繕も大切な仕事だから、設備保全のために溶接の資格も取得したのである。

 身につけた技能を活かして、自宅の軒先づくり、レンガ積み、網戸製作などに励むことになった。車のガレージもつくった。これはコンクリートの基礎打ちから鉄骨の切断、溶接、組立てまで自分ひとりでやり遂げた。

 大工仕事が好きな性分だったせいもある。何週間か過ぎて、ガレージが次第にかたちになってくると、もう次の日曜日が待ち遠しくって、わくわくしたものだ。

 お客さまともこの趣味が縁で、大いに盛り上がる。ただし先方は犬小屋か本立てなどの製作が主体だから、こちらが車のガレージを持ち出すと一様にビックリされる。「ぜひうちの工場の保全マンに」とスカウトされたこともあった。

 最後にもうひとつ。これも縁あって、7年前から和太鼓のチームに加わった。練習の成果を各地の盆踊り大会で披露するのである。おかげで民謡好きのご婦人のお客さまとも話が弾む。

 いろいろな縁と出会ったおかげで、少しは潤いのある道筋を歩いてこれたと思う。これからはタクシーの利用が大きなご縁になったと、お客さまに喜ばれるような、そんなドライバーをめざしたいと思っている。



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