この記事は2005年12月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。
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聞き手(名鉄交通社長)
金子暁男 |
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越智インターナショナルバレエの若手ホープ、越智友則さん(25)。父がバレエ団代表の越智實さん、母がバレリーナの久美子さんという恵まれた環境に育ち、2001年のモスクワ国際バレエコンクール実質1位入賞をはじめ、受賞も数多い。バレエ漬けの日々のなか、移動にはタクシーを愛用されているとか。 金子 バレエをお始めになったのは、何歳のころですか。 越智 僕は遅くて、中学生になってからです。小学校のころは肥満気味で、バレエとは全く関係ない生活をしていて。けい古場に連れて行かれて、タイツを履かされたこともあるんですけど、「僕はやらないよ」と。 金子 すると何か契機が? 越智 中学1年生のときに担任の先生が、「夏休みを利用して、将来何をやるかという目標を立てながら、生活してみろ」とおっしゃったんです。で、舞台に関わる仕事についたほうが、親のコネで楽に生きていけるかなと思って(笑い)、「舞台監督にでもなろうかな」と、家で話したんですね。そうしたら母に、「いきなり舞台監督といっても、まだ何も舞台のことを分からないから、バレエでもかじってみたら」と言われて、「じゃあ、やってみようかな」と。 金子 それが続いたというのは、きっと楽しかったんでしょうね。 越智 音楽に合わせて体を動かすことが、すぐ好きになりましたね。今でも体を動かしていると、「気持ちがいいなあ」と思います。 金子 ご両親のDNAなんでしょうね。 越智 どうでしょうか。ひとつは、小さいころに強制されなかったことが、よかったかなと。本当に自由に育てられたので。 金子 ウクライナ共和国のキエフにあるバレエ学校に留学されたのは、何かきっかけがおありだったんですか。 越智 最初のころ、両親が「やるなら本格的なバレエを習わせよう」ということで、キエフからワレリー・コフトン先生を招聘してくれたんです。で、その指導を受けていたんですが、高校1年生のときに、「キエフのバレエ学校を見てきたらどうか」と言われて。 金子 向うの学校の生徒さんは、レベルが高いんですか。 越智 それがすごく驚きだったんですが、当時は自分の進歩の遅さにかなり落ち込んで、やめようかなと思っていた時期でもあったんです。それで向うの学校に入ったら、真剣にやっている子もいれば、そんなに熱心でない子もいたので、ひと安心して。もうちょっと頑張ってもいいかなと。 金子 その後、賞を次々とお取りになって。モスクワ国際バレエコンクールでは、実質1位だったんですね。自信はおありでした? 越智 全然なかったです。昔から有名な方たちが賞を取ってきたコンクールなので、「出られるだけでいいや」と。ボリショイ劇場が改装する前の、最後のコンクールだったので、「僕があこがれていたダンサーがここで昔、踊ったんだ」と、同じ舞台に立てるだけで満足でした。それでもプレッシャーで、熱を出してしまいましたが。(笑い) 金子 お母さま(越智久美子さん)も、現役で踊っていらっしゃいますね。越智 はい。最近は、母子でパートナーを組むことも多くて。 金子 お母さまとご一緒だと、踊りにくいことはないですか。 越智 それはないです。逆に親子だからこそ共通する感覚があるんですね。音楽の受け取り方や、表現のタッチなども。母は経験も才能も豊かですし、一緒に舞台を作り上げるのは、大きな喜びです。 金子 なるほど。 越智 元々、母親というよりは友だちのような感じで。年齢も近いですし、よく姉弟と間違えられたんです。この前なんか、「キミの奥さんかね?」と言われて。(笑い) 金子 親子で舞台に立てるというのは、素晴らしいことですね。 越智 そうですね。今は結果として、家族3人が非常に幸せになれたと思います。共通の話題で話すこともできますし。 金子 タクシーは、よくご利用になられますか。越智 いつも本当に便利に乗せていただいています。足が疲れる職業なので、スタジオからの移動も、タクシーを使ったりですとか。 金子 ご自分で運転は。 越智 いえ、免許が…。本当にバレエ漬けの生活を送ってきていまして、父と同じで免許がないんですよ。 金子 ほお。お父さまもお取りになっていないんですか。 越智 はい。父はバレエ漬けというよりも、教習所で教官と2回くらいケンカになったらしいです。(笑い) 金子 タクシーに、何かご要望などはございませんか。 越智 テレビが見たいとか言うと、ぜいたくですね(笑い)。これほどタクシー文化が発達している国は、他にないんじゃないですか。最近はタバコのにおいがやたらする車もないですし…。 金子 そうですね。名タクの場合、運転手は車内で吸わないことになっていますし、今は禁煙車を38台ご用意しております。 越智 最近よく見かけますね。僕は喫煙者なので、肩身の狭い思いをしているんですが。(笑い) 金子 タクシーで何か、印象深いご経験は。 越智 うちは犬好きの家庭で、昔から犬を飼っているんですけどね。急病で獣医さんに行くときとか、タクシーを呼んだことがあります。でもシーツが汚れちゃうんじゃないかと心配して、恐る恐る「犬を乗せてもいいですか?」と尋ねると、結構、快く乗せてくれて。優しいですよね。僕なら渋い顔をしちゃうと思いますが。(笑い) 金子 将来の目標などはございますか。 越智 今の僕たちのバレエ団よりも、もっと大きい活動ができるようなカンパニーが作りたいなと。公演のときだけの集まりでもいいので。これは僕一人の力だけでは何ともならないんですが、僕と母の夢みたいな目標なんです。 金子 なるほど。名古屋は芸処といわれますが、クラシックバレエの分野で、全国に情報発信をする方たちがいらっしゃるというのは、名古屋の誇りだと思いますね。今後のご活躍に期待しています。 越智 ありがとうございます。 おち・とものり 越智インターナショナルバレエでバレエを始め、キエフバレエのワレリー・コフトン氏に師事。1998年、国立キエフバレエ学校を卒業。最近では2004年の第21回バルナ国際バレエコンクールでシニア部門世界3位。◆公演予定=「くるみ割り人形」を12月22日に知立市文化会館で、24・25日に名古屋市民会館中ホールで公演。問い合せは電話481・4488まで。 HOME>INTERVIEW私のタクシー体験TOP |
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