この記事は2005年12月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

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大盛況だった万博が幕を閉じても名古屋の元気は相変わらず。その「はつらつ」ぶりを肌で感じられるのが大須界隈。大須観音、万松寺の古刹群、そして古着からハイテク商品まで何でもありのアーケード商店街がからみあい、年齢不問の独特な混雑ぶりを見せています。今回は下町情緒たっぷりの大須と、江戸情緒が漂う絞りの町・有松を「なごやかガイド」の案内で巡ってきました。 　スタートは名古屋駅前の名鉄百貨店から。もちろん宿泊先でも、他の場所でもかまいません。都合のいいところがそのまま出発点になる、これがガイドタクシーの特徴です。 　今回のなごやかガイドは小川芳樹さん。万博開催中は全国から訪れたお客さまのガイドを務め大好評だったとか。知識も豊富で車窓観光もたっぷり楽しめます。 　まずは名古屋駅前からほんの１０分、大須の玄関口ともいうべき大須観音に。 　朱色の山門に朱色の本堂、鳩の群れと参拝客たちが仲良く境内を歩いています。 　「毎月１８日と２８日は名物の骨董市。境内に露店が並びますから、見るだけでも楽しいですよ」と小川さん。 　境内のすぐ横から商店街が縦横に延びるだけに、観音さまも下町ムードいっぱい。つい気軽にお参りしてしまいましたが、実は大須観音はそもそも南北朝時代に尾張国の大須郷（今の岐阜県羽島市）に創建された名刹。 　それが慶長１７年（１６１２）徳川家康によって現在地に移されたわけです。歴史があるだけじゃなく、国宝の日本最古の古事記写本はじめ貴重な古文書の収蔵でも有名ですね。 　この観音さまはじめ大須界隈にはお寺が多い。代表格をもうひとつ挙げれば万松寺でしょうか。 　こちらはアーケード街のど真ん中にあり、創建は天文９年（１５４０）。織田信長の父、信秀が建てた織田家の菩提寺です。 　食堂やカバン屋など店先がとぎれて、その奥まったところが本堂。道路沿いには御手洗に線香台、それに派手な土産物台が並び、その向こうに身代り不動の御堂がひっそりと。　ここで父・信秀の葬儀の折、汚れた着物に荒縄を帯代わりにした信長が抹香を位牌に投げつけた。有名なこの逸話は本堂３階にしつらえた「からくり人形」の舞台で毎日上演しています。さすが庶民の街、大須。お寺さんもエンターティメントの精神を忘れません。 　それにしても驚くのは、アーケードにずらりと並ぶお店の雑多なこと。喫茶店、洋食堂にうどん屋、アクセサリーに古着、古本、市場にコンビニ、家具屋。革製品の店やお好み焼き屋も目立ちますね。それにファンの多い演芸場に、名高いパソコン、家電の安売り店。 　おもちゃ箱をひっくり返したみたいな騒々しい通りを、お年寄りや若者のカップル、家族連れ、外国人の一団までが店先をひやかして行き過ぎます。この気安さが大須の身上。年末年始は商店街が腕によりをかけて一大セールを繰り広げるそうだから、にぎわうこと間違いなし。観音さまに初詣がてら、ぜひお出かけのほど。 　大須から有松までは約４５分。熱田神宮を抜け、国道１号線を走り、名鉄有松駅に向けて左に折れると、国道の喧騒がウソのように静かな旧東海道に突き当たる。この一角がお目当ての「有松・鳴海絞会館」。 　絞り染めは世界で最も古い模様染めの手法。江戸時代の初め、九州からやってきた武士の着物にヒントを得て、有松でブームとなり、その後全国に広まったとか。 　旧東海道沿いのこの界隈には今も豪壮な絞り問屋が軒を連ね、江戸情緒漂う漆喰壁や木格子が訪れる人を魅了します。昭和５９年には名古屋初の町並み保存地区に指定されました。 　その絞りの技法を実演してくれるのが絞会館。江戸時代からの絞り染めの展示室、ビデオ上映室と並んで実演コーナーがあり、毎日、プロ職人の女性たちが鮮やかな手さばきで糸括りを見せてくれます。 　「これは手蜘蛛絞り。染め模様がクモみたいになるでね」 　実演しながら名古屋弁で気さくに説明してくれるのがうれしいですね。 　絞りの技法は１００種類もあるそうで、指先の修練がすべて。製作も大変で、括りの工程だけでも３カ月もかかるほど。 　今ではそれこそ世界中から観光客がやってくるからと、実演のベテラン女性がメモを見せてくれました。そこにはトルコやルーマニアなど世界のあいさつ言葉がびっしり。腕前のすごさはもちろん、ほほえましくて、人情味もたっぷり。印象に残る実演を楽しめました。 　会館１階では絞り染めの即売もしています。 今回のなごやか ガイド 　「休日は徳川園や白鳥庭園をのんびり散策するのが楽しみ」という小川さんは名古屋のお隣り、一宮市の出身。万博開催中の半年間で、３０組近いお客さまのなごやかガイドを務めたそうです。「北海道から九州まで、全国からのお客さまを案内しました。名古屋城や徳川園、熱田さんが人気でしたね」 　万博が終わっても名古屋の活気は名物ひつまぶしのようにうなぎ上り。「とくに冬は味噌煮込みや味噌おでんがおいしい季節。人気店にご案内しますから、ぜひガイドタクシーのご利用を」とにっこり。 小川芳樹さん （西部営業基地） 見どころMAP PDFデータ PDFファイル（661KB） map.pdf

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