この記事は2007年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

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 中学生の頃、理科の時間に惑星の名前を「水・金・地・火・木・土…」と覚えたり、夜空を眺めながら「あれがシリウス」「これがオリオン」と星座を探したり。誰もがそんな経験をお持ちでしょう。

 理科の時間に宇宙の神秘を垣間見たことから、すっかり星の虜になり、望遠鏡まで作ってしまったのが、営業係(乗務員)歴10年の熊沢和裕さん、55歳です。

 最初に作ったのは中学1年の時。長さ50センチ、口径4センチほどの小さなものだったそうですが、それでも月のクレーターがくっきり。この感動が宇宙への好奇心を、さらに駆り立てたのでしょう。

 中学3年生になると、もっとたくさんの星を見たいと、1メートルはゆうに超える長さで、口径8センチ、倍率50倍という大きな望遠鏡も作ってしまいました。

 「これですと木星の表面が、光を浴びたビー玉のように輝いているのが、はっきりと見えるんです。あまりの美しさに呆然としました」と熊沢さん。

 この望遠鏡は修理に修理を加え、今も健在。自宅に帰れば、さまざまなタイプの望遠鏡があるそうですが、この望遠鏡だけは、いつでも星が見られるよう、常にマイカーに積み込まれ、熊沢さんと行動を共にしています。

 「僕が星を見るのは、新しい星を見つけたり、何かを観測するといった目的ではなく、星を眺めるのが好きというだけ。静かに星を見ていると、気持ちが穏やかになって、幸せな気分になれるんです」

 深夜、タクシーに乗務している時も、上空に星座を見つけたら、お客様にちょっとだけ星座の解説を。興味を示してくだされば、星座にまつわる物語を紹介したりして、喜ばれたりもしています。

 今は24時間街の明かりが消えることなく、しかも空気も汚れがちで、昔に比べれば見える星の数は激減しています。これは残念なことですが、その分、明るい星は見つけやすくなっています。

 「たとえば今なら西の空で真っ赤に光っている星。人工衛星と間違える人もいますが、あれが宵の明星、つまり金星ですよね。星座表を手元において、じっくり観察すると、結構いろいろな星が探せます」とのこと。

 7〜8月は七夕伝説で有名な織姫星と彦星が頭上あたりで輝くとか。探してみてはいかがでしょうか。



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