この記事は1998年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

大島 弘社長の名タク招待席

 

苦情、感謝の言葉のゆくえは?

サービス向上委員会で厳密チェック

苦情はありませんか。ご意見はありませんか。お褒めはありませんか。

 お客さまの”声”は私たちの財産。身を正す鏡であり、己を磨く宝石です。ときには値千金のご褒美になることもありますが。

 皆さまからの声を、当社ではどのように身のうちに消化し、栄養にしているか。今回はそのためのシステムをご紹介しましょう。

 お声を承るのは、「なんでもテレホン」や配車センター、または審査部、指導部へのお電話が中心。ときには手紙をいただくこともあります。

ルルル…「なんでもテレホン」の電話が鳴りました。

 「家から病院に行くのに、いつもと違う道を通ったので高かったし、対応も無愛想だった!」

 クレームです。担当はまず「大変申し訳ございません」と謝罪し、営業係(乗務員)の名前や車両ナンバーなど、手掛かりになるものを伺います。

 受話器を置くと、すぐ調査です。ルートが適切だったかどうか、乗務員の言い分はどうか。結果は処理簿に記入され、その日のうちに社長まで届きます。内容によってすぐにお客さまに回答したり、それなりの措置を講じたり。この段階では即時性が必要かどうかの判断が大きなポイントになります。

お客さまへの対応が終われば、「これにて一件落着」というわけではありません。さらに社内的問題として、再審議されます。これを行うのがサービス向上委員会という機関で、いわば名タクの裁判所ですね。会社と組合の委員各8人、プラス事務局で構成しています。

 月1回のその席上。全員の手に、「お声」をいただいたお客さまのお名前と日時、ご乗車ルート、内容、調査結果などをぴっしり記入した資料が配られ、審議が始まります。

 なぜそういう事態になったか、乗務員に落ち度があるのかどうか。1件ごとにカンカンガクガク、熱い審議が続きます。接客に問題がある場合は、厳重注意か減給か。その処分もここで話し合います。

 ただし委員会の大きな役割は、サービスをより向上させること。乗務員を裁くのも一つの任務ですが、2度と起こらないためにどうするか、その具体的指針を導くのが一番の目的といえます。ここが裁判所と大きく違う点でしょう。

もう一つ。「お声」には、感謝の言葉もたくさんあります。その乗務員へのご褒美をどうするか。金一封か、社長表彰か。これを決めるのも委員会の役割です。さらに言えば、お褒めの内容を全社員に知らせ、いいサービスの具体的なお手本にするようにもします。

 苦情には身を正し、お褒めには仕事のやり甲斐を再認識します。どんどん皆さまの「お声」をお寄せください。