この記事は1999年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

 
東西タクシー事情
 

サイアム セントラル
エキスプレス(株)
マネージャー
 山田 康夫さん
 

【タイ・バンコク】

大渋滞でも乗車拒否でもマイペンライ!(気にしない)


 マイペンライ。「気にしない、気にしない」ほどの意味。タイのおおらかなお国柄の一端はこの言葉で表せるでしょう。もちろんタクシー利用においてもしかり。有名ホテルを知らない運転手が多くても、地図の見方がわからなくても(そもそも地図をみる習慣がない)、「マイペンライ!」。のんびり行きましょう、乗せる方も乗る方も。

 サービスが悪いなんて眉をしかめては、タイを楽しむことはできません。まずタクシーとは、「運転手のための快適空間である」と理解してください。車内に流れる大音量のルークトゥン(タイの演歌)に聞き惚れ、お客様にはぶっきらぼう。それでもマイペンライ、マイペンライ。

 さて首都バンコクには2種類のタクシーが走っています。料金メーター付き(TAXI
METERと屋根マークが。今はほとんどがこれ)と昔ながらの料金交渉制のと。乗車拒否の多さは日本の比じゃありません。バンコク名物の大渋滞、それに強烈なスコールのときは、開かないドアを見つめ、例の呪文を唱えるのみ。運よく乗れたときは、財布に小銭があるか確認すること。
運転手諸氏は釣り銭を持っていないことが多いんです。もう一つ、タイ式ダブルチャージ制もこちらの特徴ですね。たとえば2人で乗って、1人目が降りると、そこからまた初乗りにメーターを戻す仕組みです。高くつきますけど、まあこれもマイペンライと思わないと。

 といって、こりゃ大変だなどと尻込みすることはありません。タイにはタクシーのほか、庶民や観光客の足としてトゥクトゥクが引っ張り凧。ど派手なペイントの小型オート3輪で、小回りが利き、近距離移動には最適です。定員は3人ですが、10人くらいぶら下げて走っているのは日常茶飯事。積み残されるのがご心配ならモーターサイ利用もおすすめです。オートバイタクシーのことで、駅やソーイ(小道)で背番号を付けた男性がたむろしてますからすぐわかります。とにかくバンコクは袋小路だらけ。それがやたらに奥深いから、バイクがぴったり。大渋滞でも機動力が発揮されますし、気分いいですよ。