この記事は1999年9月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

 

バックミラー

本紙の記事が縁で
テレビ番組に出演

尾崎 守之(南部第1営業基地)

 東海テレビに「爆笑! 駐在さんが行く」(毎週土曜日、午後4時)というお笑い番組がある。メグレ警部ならぬグルメ警部が登場し、名古屋周辺のおいしい料理店を捜査して、つきとめるという趣向だ。演じるのは吉本興業のコメディアン。それに出演することになった。

 発端は昨年、本紙のコラム「とっておきの店」で一品料理の店を紹介したことに始まる。

熱田区高蔵町の「はなまち」で、安い、うまい、庶民的と3拍子そろった名店と推薦した。

その紙面を読んだスタッフが試食にいったらしい。記事にいつわりなし、というわけで、推薦者本人にご登場願おうという話になったようだ。お役に立てればと快諾した次第。

 当方の役どころは、うまい店を知りながら、ひたすら隠すタクシードライバー。で、石田靖演じるグルメ警部が当方を逮捕し、あの手この手で取り調べ、ついに店名を白状させるというわけだ。当然台本がある。7月の放送日の10日前に手渡され、セリフを丸暗記してリハーサルに臨むようにと言われた。けれども何せ1日中ハンドルを握る身である。忙しくて丸暗記もリハーサルもとてもできない。で、ぶっつけ本番を申し入れたのだから、スタッフたちも面食らっただろう。人選を間違えたと頭を抱えたかもしれない。だが、長年ドライバーとして、さまざまなお客さまと接していると、どんな場面でも自然な会話が身に着くのである。自信と不安を天秤にかけた結果、当たって砕けることにした。

 本番の取り調べ室の会話も全部アドリブになる。警部が安タバコを進める。「いや、カン入りピースしか吸わない。こだわりを持たなくては人間は成長しない」とやる。相手はさすが人気芸人だけに、絶妙に受けてどんどん話が盛り上がるのである。最後はお決まりのカツ丼が差し入れられて、あまりの不味さに、ぽろりと「はなまち」の名を口走って、めでたく解決。あとで「吉本にこないか」と冗談を言われたくらいだから、まあ及第点だったと思う。

 これが人気番組だったことは、放送後に思い知らされた。お客さまが運転席を覗き込むようにして「あ、テレビで見た!」と叫ばれるからだ。おかげで話が盛り上がる。出演はタクシー乗務の幅を広げるいいチャンスになったようだ。