この記事は1999年9月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

 

東西タクシー事情  

第23代なごや民間大使
 チナリョーワ・ユーリアさん

 

【ロシア・ハバロフスク】

名物は白タク、でも安全と

サービスはやっぱりタクシー!

 何しろ社会主義から市場経済へと国家が大転換。これほどすさまじいイメージチェンジもありません。政府も工場も、もちろんタクシーもイメチェンの大波を頭からかぶったわけですね。ソビエト時代のタクシーといえば、ちょいと困ったシロモノでした。客が旅行者とみれば、広場の周りをグルグル走り続けて料金を釣り上げたり。ですから恋人に「あなたってタクシードライバーみたいな人ね」って言われたらもうおしまい。信頼できないってことですから。

 でも旧体制と一緒にそんなイメージもなくなりました。生まれ育ったハバロフスクも昔と違い、民間のタクシー会社が林立、適正料金とサービスで評判をとっています。車も以前のヴォルガじゃなく、今は日本の中古車がほとんど。料金メーターがないから、運転手に行き先を告げる。すかさず運賃が運転手の口から返ってくる仕組みです。ハバロフスク空港から都心まで30ルーブル(約150円)といったところでしょう。乗るのも簡単。流しが基本ですから、道路沿いに立って腕を水平に突き出すだけ。ただし肝心のタクシーが走っているかどうかは、あなたの運次第。まだまだ台数が少ないんですね。でも腕と脚が棒になるまで立ちっぱなしということはありません。あなたを見つけるや、自家用車がたちまち白タクに変わって停車してくれますから。料金もタクシー並みどころか、ひょっとすると無料奉仕なんて、天使のようなドライバーもいるほど。この白タクがハバロフスク名物というわけですが、旅行者にはちょっとおすすめしかねます。例のソビエト方式を採用する不届き者がいないとも限りませんから。

 第一運転がすごい。「早いもの勝ち」これが交通ルールと信じてる人が多いんです。赤信号もなんのその、とても意欲的に車を走らせますから、安全のためにも、プロのタクシーをぜひ。数が少ないといっても、空港では間違いなく利用できますしね。

 ハバロフスクは人口60万。極東ではウラジオストークに次ぐ都会です。アムール川沿いに細長く発展した街で、空港から中心までほんの25分。道路は格子状で、まるで京都みたい。緑の街をドライブし、人気のイタリア料理を食べ、夜はディスコへ。これがハバロフスクの楽しみ方。開放的な土地柄ですから、ぜひ訪れてください。ただし夏に。凍りつく冬期のスリリングなタクシー体験がご希望なら、別ですけれど。