この記事は1999年9月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

 

ジャンボタクシーで行く

ジャンボ1日ドライブ!

 

養老公園の不可思議な
芸術空間、そして大垣の
「わび」とハイテク、
新旧多彩な秋を味わう。

 秋がぴったりくる自然公園の中で、今大人気なのが「養老天命反転地」。この不思議体験を皮切りに、水の城下町・大垣市へ。水門川に揺れる燈台の影、芭蕉の碑、名物のそば料理、そして話題のサイバー空間「ソフトピア」…。あれこれ欲張り、仲間たちで盛り上がる。これも運転無用のジャンボタクシーならでは。

 

巨大な不思議ワールド
「養老天命反転地」

 大昔、美濃の国に貧しいきこりが住み、年老いた父親を養っていました。ある日、山奥に入り、岩壁から流れ落ちる水を飲んだところ、なんと芳しい酒の香りが。父親に飲ませれば、たちまち若返って元気いっぱい…。この孝子伝説でおなじみなのが岐阜県の養老公園。名神大垣インターを下りてわずか20分。名古屋からでも1時間のドライブで到着です。

 「養老の滝」を中心に養老山麓の自然を取り入れた園内には、名水「菊水泉」の湧く養老神社、キャンプ場、レジャーランドなど見どころがたっぷり。中でも今一番の注目株が養老天命反転地です。

 名称だけでは何が何やらさっぱりわからない。まずはこの目でと、ともかく入場。いや驚きました。1万8150平方 (5500坪)の巨大なすり鉢状のくぼみに、建物や道路や植え込みやベンチのようなものがあるけれど、どうもシャキッとしていない。奇妙にゆがみ、ねじれている。見ていると目まいを起こしそうな風景です。実はこれ、大変な芸術作品。ニューヨークで活躍する造形作家・荒川修作さんの作品で「生活のしきたりを引っ繰り返す」のがねらいだとか。その代表「極限で似るものの家」はそこら中が行き止まり。かしいだ壁からテーブルが半分突き出し、あと半分は向こう側に。どこを歩いても不思議がいっぱい。これはぜひ体験してもらわなければ。

 芸術鑑賞? で汗をかいたあとは食堂や売店が並ぶ「楽市楽座・養老」でビールを一杯。名産の柿のエキス入りの地ビール「柿ラガー」は口当たりもさわやか、これからの季節にぴったりでした。

 

 

芭蕉の名句、水路の情緒、
大垣の秋を散策

 ほろ酔い気分でジャンボタクシーに乗り込み、国道258号線で大垣に。有名な「奥の細道むすびの地」の記念碑は、市内を巡る水門川のほとりに建っています。元禄2年(1689)の秋、松尾芭蕉は5カ月にわたる奥の細道の旅を大垣で終えました。その折り、「蛤のふたみに別れ行く秋ぞ」の句を残し、水門川の港から桑名へ船で下ったとのこと。

 水門川は大垣市街を四角に囲み、江戸時代は物資や人の輸送に使われた運河。むすびの地の向こう岸には寄棟造り、油障子の住吉燈台が、江戸の名残りをゆらゆらと川面に映し出しています。水の都の情緒満点。芭蕉ならずとも思わず一句、という気分になりそうです。それを見越したわけじゃないでしょうが、芭蕉の像の横には「俳句ポスト」も設置してあり、自作の投函も自由。心憎い演出ですね。

 水が良ければ料理もおいしい。昼食はにしんそばで名高い「酒井亭」へ。にしんは大垣の清水でさらし、番茶で洗ってコトコト煮込む。骨まで柔らかいにしんと、関西風味のつゆが絶妙。そばもおいしいし、ビールもおいしい。ジャンボタクシーで来てよかった、と実感できる一瞬です。

 

マルチメディアの粋を集めた
「ソフトピアジャパン」

 食後は近くの大垣公園で腹ごなし。林の小道を抜けると大垣城。かの関ケ原合戦では西軍の本堂となり、江戸時代は戸田氏10万石の居城であった名城です。4層の天守閣内は武具や出土器を展示した資料館。窓口で入場を受け付けていたのは、外国人の青年でした。独特の城郭建築の魅力にひきつけられるのは洋の東西を問わず、というわけです。

 お城から5分も歩くと市郷土館。大垣の歴史と文化に親しんだ後は、ぐっと趣向を変えて近未来ゾーンへと向かいました。国道21号線和合インターすぐ近くの「ソフトピアジャパン」は高度情報化社会を目指す岐阜県の研究拠点。13階建てのビル内にはマルチメディアなど先端技術の研究機関が集まっていますが、一般でも自由にハイテクに触れられるスペースが設けられているのがうれしいですね。とくに3階のメディアプラザ。ここは遊び感覚の体験型情報科学館。コンピュータグラフィックを自作したり、未来生活の擬似体験をしたり、世界の名所を背景に記念写真を撮ったりと、楽しみながらマルチメディアのすごさを体験して帰途に。自然と芸術、江戸情緒と近未来まで行き来した1日でした。

 

●今回のコース

 名神高速大垣インターから国道258号線を経て養老公園へ。再び国道を戻り、大垣市内へ。全行程170キロ。ジャンボタクシーはおおよそ1時間当り7100円。「小型貸切バス」もございますので、お気軽にお問い合わせを。

貸切バス・ジャンボタクシー 052(331)4888

●養老天命反転地

午前9時〜午後5時。
月曜休園。入場料は大人710円、高校生510円、小中学生300円。 0584・32・4592

●大垣城

午前9時〜午後5時。
月曜午後と火曜日、祝日の翌日休館。入館料は大人150円、小中学生70円(市郷土館と共通)。 0584・74・7875(大垣城) 0584・75・1231(郷土館)

●酒井亭

午前11時〜午後8時。
にしんそば800円、ざるそば600円。小鉢やご飯、デザートとセットのにしん定食1200円がおすすめ。日曜定休。 0584・78・3081

●ソフトピアジャパン

メディアプラザは午前10時〜午後6時(10月からは午後5時)。
休館は年末年始。入場無料。 0584・77・1111