この記事は1999年12月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

名タク招待席

 

名タクの社会奉仕

ボランティアの床屋さん

天白区  植田にある用語老人ホーム「寿荘」。ここは約260人のお年寄りが暮らす市営の老人ホームです。その3階に理容室が今回ご案内する場所。といっても、もちろん名鉄交通の施設ではありません。調髪に当たる理容師が当社から派遣された社員なのであり、調髪は当社のボランティア活動の一環なのです。

ハサミ  を握るのは大川錫子理容師。この道約40年の大ベテランです。朝10時の「開店」と同時に、整理券を持ったお年寄りが一人、また一人。「今日はどんな風にやっとく?」と、まずは要望をお伺い。短く? 長め? 前はどう? 「どうでもいいでお任せしますわ」という消極発言には、「そんなこと言っててはいかんよ、きれいにならんと!」と、冗談まじりにカツ。「短く、という人が多いけど、女性ならどこかに女性らしさが残るように」というのが、大川理容師の心配りです。

 話す間にもハサミは手際よく進み、床屋談義に花が咲きます。楽しいこと、うれしいこと。悩みや愚痴の数々・・・。すっかり話したころには髪もさっぱり。首筋をカミソリでそり、熱いタオルをあてて完成です。

 手を合わせて拝むように、「ありがとうございました」とお年寄り。「床屋さんをやってもらうのが一番の楽しみですわ」。この言葉が大川理容師と我々の一番の喜びです。

日ごろ ご利用いただいている感謝の気持ちを、社会に返したい。社会福祉に役立てたい。そんな思いを込めて、当社が整髪のボランティアを始めたのは昭和54年。訪問する施設は、先にご紹介した寿荘をはじめ、養護老人ホーム「尾張荘」、軽費老人ホーム「緑寿荘」、肢体不自由者更正施設「緑風荘」の4カ所です。

 大川理容師はスタート以来の専任者。一人で1カ月25日かけて各施設を回り、朝10時から午後3時ごろまで整髪活動を行います。20年にわたる訪問で、施設の入居者とはすっかり顔なじみ。気さくな人柄もあって、床屋談義にそのものを楽しみにするお年寄りも少なくないようです。

 この整髪奉仕活動に対して平成7年には、全国ボランティアフェスティバルの厚生大臣表彰で、ボランティア功労者として受賞することができました。

整髪奉仕  をはじめ、当社では様々な社会奉仕活動に取り組んでいます。

 まず本業のタクシーでは、高齢者と身体障がい者の方々に気軽に利用していただけるようにと、1割引の制度をもうけました。また乗り降りにもご不自由がないようにと、乗務員が介助の専門講習を受講。今では半数にのぼる約800人が講習を終え、「介助タクシー」としてお迎えにあがっています。さらに車いすのご用命にも応じられる体制を整えました。

 一方、文化的な貢献としては、名古屋ボストン美術館など各種団体への協賛を行っています。また天白区植田にある名鉄交通ビルの文化教室「名鉄コミュニティサロン植田」も、そのひとつでしょう

 地域とともにありたい。地域にご利用いただき、地域にご奉仕したい。これが当社の信念であり、願いです。皆さまからのご要望やご意見も、そのための貴重な宝。お声をどんどんお聞かせください。