この記事は2000年12月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

菱形つれづれ

「ホームページ雑感」

 名鉄交通取締役相談役
村手光彦

 ある休日の午後のこと、家でパソコンをいじっていたら、名古屋市内のタクシー会社を対象とした人気投票をしているホームページを見つけました。別に評価のルールが定められているわけでもなく、単にそのページを開くと任意のタクシー会社に1票の投票をすることができるというものでした。しかしページを開くためには結構面倒くさい手順操作が必要です。

 実は私が見つけた時点では、当社への投票が5票、ライバルのT社が6票と、当社が負けていましたので、私が2票を投じて逆転させました。

 一安心して10分ばかり経ってからもう一度そのページを見たら、なんと再び逆転されてT社がリードしているではありませんか。それから延々3時間ほどの間、抜きつ抜かれつの投票合戦を繰り返しました。

 てっきりこのホームページはT社の関係者が操作しているものと思い込んだ私は、翌日T社の幹部に電話して、「このような無意味な人気投票はお互い自粛しよう」と申し入れました。T社の幹部も同意して調べてくれましたが、誰も心当たりがないとのこと。

 ならば当社に対して何かご不満をお持ちの方がオペレートされているのではないかと、いろいろ調査しましたが、分からずじまいで、そのうちにこのホームページは閉じられてしまいました。

 以上はお笑い話とも考えられますが、何か問題を含んでいるような気がします。最近のIT時代では、うっかりしていると自分の知らないところで悪評が広がり、釈明のチャンスも失ってしまうことになりかねません。

 当社では苦情を含めて、お客さまからのご意見を伺うことが最も大切なPRの手段と考えており、インターネットについても担当を定めて毎日、Eメール受信の確認はもちろん、関連があると思われるホームページの内容をチェックするよう努力しています。それにしてもお客さまの隠れたご不満を積極的に顕在化して事実調査を行い、対策を講じ、お客さまの納得をいただくために求められる努力は膨大なものです。

 しかし、トラブルへの対応が迅速で、適切であったときに、お客さまから「さすが名タク(名鉄交通)・・・・」という一言をいただく喜びは、それ以上に大きなものがあります。