この記事は2001年3月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

とらばーゆ 人

名タクに再入社して気分は浦島太郎!

寺西寿三ひさぞうさん(南部第二営業基地)

 昨年九月、名タクに入社した寺西寿三さん(57)は、いま浦島太郎の気分を味わっています。というのも三十年ほど前、六年間にわたって、やはり今と同じ営業係(乗務員)をしていたのです。

 「昔はお客様といえば、サラリーマンの方が中心でしたが、いまは若い方や女性、高齢者の方のご利用が増えて、タクシーが皆さんの生活の中で、一段と身近になっていることがよく分かります」

 車内での会話も多岐にわたり、「お話を伺っているだけでも楽しい」そうです。でも困ったことが一つ。昔の土地カンが通用しないのです。

 「ビルが建て変わったり、駐車場に変わっていたり、街の様子がずいぶん変わりましたからね。昔ながらの駅や公共施設なら、すぐに分かるのですが…。今は一から勉強のつもりでやっています」

 ところで再入社する前の寺西さんはといえば、食品保存容器を販売する大手企業に二十五年間勤務。長年、商品管理の仕事に携わっていたそうですが、その会社がリストラ政策を実施。将来のことを考えていた時、ふと思い出したのが昔の仲間です。軽い気持ちで電話をしてみると、「もう一度名タクで働いてみないか」との誘い。

 「以前、退職したのは、仕事が嫌だったからではなく、家庭の事情があったから。彼と話をしていて、またここで働きたくなったんです」

 寺西さんが決意した一番の決め手は、年齢にハンディがないこと。文字通りの成果主義で、若くても中高年でも、努力した分が収入に反映されます。「私たちの年齢になると、それが大きな魅力ですね」。

 そう語る寺西さんの趣味は、一にも二にも野球です。もう五十年近くも野球一筋で、ポジションはピッチャー。手にしたトロフィーは三十本にもなるといいます。

 そして見るほうは、もちろん大のドラゴンズファン。もうすぐペナントレースが始まりますが、「お客様とラジオを聞きながら、野球談義をするのが、いまから楽しみです」とのことでした