この記事は2001年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

東西タクシー事情

カッタブ・トラベル・エージェンシーグループコーディネーター
池田史子さん
【エジプト・アラブ共和国 カイロ】

料金交渉も乗合タクシーも、慣れれば楽しい!


▲エジプトのタクシー

 エジプトの首都カイロは、地中海に注ぐナイル川河口に発達したアフリカ最大の都市。今や1600万人もの人口が集中し、そのため近郊のサハラ砂漢に大型の近代都市がいくつも開発されているほど。

 市民の足は国営のバスや地下鉄ですが、何しろ人間が多いので、乗り物はいつも満員です。だからビジネスマンや学生、ビラミッド見物の観光客はタクシ−利用が多いですね。

 そのタクシーに初めて乗ったのが9年前。古代遺跡の町にふさわしく? 大変な年代物でシートも汚れ放題。腰を降ろすのに躊躇(ちゅうちょ)したほどです。しかも走り出したとたん、ドライパー氏は料金値上げの交捗を開始します。前を見もしないで、顔をこちらに向けたまま。降りるときもひと騒動で、あまりに古い車なのでドアがどうしても開かない。このときは道行く人に外側から開けてもらい、無事脱出ができましたけど。

 カイロのタクシーの名誉のために急いて付け加えれば、もちろん新車も走っていますから、車を選べばこんな不幸に巡り会うことはありません。

 こちらのタクシーはすベて個人経営。車の所有者がドライバーを兼任する場合も多いのですが、驚くのは公務員がサイドビジネスで運転手を務めていること。お役所の勤務は朝8時からお昼の2時までなのでこんな芸当が可能なんですが、公務員の収入だけでは生活が苦しいという事情もあるんですね。

 タクシーにはメーターはついていますが、それが使用されることはありません。だから料金は交捗して決めることになります。チップ込みの料金ですが、中にはバクシーシ(施し)をといって、料金とは別に喜捨を要求する運転手もいます。イスラム教徒がほとんどのエジブトのお国柄というところです。

 料金交渉術さえ身につければタクシー利用はとても簡単。カイロのタクシーは白黒のツートンで目立ちますし、合図すればすぐ止まってくれます。また空港や博物館、名高いギザのピラミッド地域では観光客目当てにたむろしていますから、これも問題なし。ただし、現在では物価高のあおりを受けて、タクシー運転手も料金にうるさくなってきたようですけどね。

 もう一つ、日本との違いは乗合い制ということでしょう。先客がある場合は、道端で大声を出して行先を告げ、相乗りするんです。その声が届くように、窓は年中開けっぱなし。それじゃ夏や冬は冷暖房が効かないだろうって? ご心配なく、最初から冷暖房装置はついていませんから。

●カイロのタクシー料金

 料金交渉制。約20キロある空港から都心まで日中なら約20エジプト・ポンド(約700円、所要時間40分)、道路の空いている早朝・夜間は25〜30エジプト・ポンド(約875〜1050円)。1エジプト・ポンドは約35円