この記事は2001年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

とらばーゆ 人

名人といわれる人は研究熱心。それを見習って…

須崎雄輔さん(北部営業基地)

 名タクに入社してまもなく三年を迎える須崎雄輔さん (45)。本人は「最近はちょっとスランプ気味」と謙遜しますが、営業成績では常にトップクラスに位置する営業係(乗務員)です。

 前職は家業の竹籠製造販売業。竹籠といっても、主に仏事などのお供えに使われる竹籠が中心で、その需要は年々減る一方です。ただ須崎さんの場合は、竹籠に果物などと一緒に花を添える仕組みを考案して特許を取得、その注文だけは今も続いています。そこで家業は家人と職人さんに任せ、自分は就職することにしました。

 しかし決断はしたものの、仕事は思うように見つかりません。少しあせりを感じ始めていた頃、たまたま乗り合わせたのが名タク。その時「これだ!」と閃いたのだそうです。

 「気持ちのいい応対というのは、お客様に信頼していただく基本ですからね。これがきちんとしている会社なら、お客様が多いだろうと思ったんです」。

 実際に就職してみて、「その時の閃きは当たっていた」と実感。でも須崎さんの営業成績が好調な理由は、それだけではありません。

 秘訣は曜日や天気・イベントなどをチェックし、今日はどういうコースを走るのがいいか、毎日自分なりに考えているのです。
 たとえば「お天気がよければ、都心に人が集まりますし、雨の日なら、出かけるのにタクシーを使いたくなりますから、郊外の住宅地へ…」。これに、もっといろいろな要素を組み合わせ、その日のコースを決定するというわけです。

 「竹籠職人でもそうですが、毎日、決められたことや、一度覚えたことを繰り返しているだけでは、技術は向上しません。やはり職人芸といわれるような仕事をする人は、いつも研究や工夫をしています。タクシーも同じだと思うのです」。

 それに何より、毎日コースを変えることで、お客様の層にも変化があり、仕事が楽しくなると語る須崎さん。

 須崎さんのいいところは、そうして得た秘訣を同僚にもオープンにしてしまうところ。スランプだった同僚にアドバイスして、喜ばれたこともあるそうです。