この記事は2001年9月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

菱形つれづれ

「あて外れ」

名鉄交通取締役相談役
村手光彦

 私どもの会社で、4万件近いお得意様のお宅へお迎えに上がるため、道順をコンピュータに記憶させ、電話番号だけお伺いすれば迅速に配車できるようにしてから、もう10年になります。

 その後NTTの方で着信番号表示ができるようになり、配車係が受話器を上げれば自動的に当社のコンピュータと照合されるので、普通は台数の注文さえ伺えばご用が足りるシステムになりました。

 ご自宅からご注文の際はこれでまずまずでしょう。しかしお出掛け先でタクシーを呼ぼうとされたとき、現在おられる場所の説明に困った経験をされた方は多いはずです。

 特に街角の電話ボックスを特定することは大変難しいと思いましたので、ボックスの壁面に張ってある番号を読んでいただくと、配車指示が確実にできるシステムを作ることにしました。これはコンピュータに記憶させておくデータ作りが大変です。

 事務職員を総動員して半年近くかけて、やっと名古屋市内約3000ヶ所所のボックス番号と、その所在を乗務員に指示できるような形で完成しました。ところがなんと携帯電話の普及に伴って公衆電話ボックスの利用が激減し、せっかくのシステムが無駄になってしまったのです。こんなに早く携帯が普及するとは夢にも思わなかった私の大失敗でした。

 携帯電話の発信場所を探知することは技術的には一応は可能ですが、まだ精度、速度、信頼性、経済性などに問題があり、しばらくはお預けになりそうです。