この記事は2001年12月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

とらばーゆ 人

自営業を経験して大企業の魅力を再認識

安藤弘忠さん(西部営業基地)

「無我夢中で始め、半年経ってようやくペースがつかめてきました」。勤務明けなのに疲れも見せず、爽やかな笑顔を浮かべる営業係(乗務員)の安藤弘忠さん(43)。その表情から、日々の充実ぶりが伝わってきます。実際、名タクに入社して「つくづくよかった」と感じているのだそうです。

というのも安藤さんは学校を卒業すると同時に、大手制御機器メーカーに就職。10数年にわたり、営業マンとして手腕を発揮してきました。そしてある時から、胸の奥にふつふつとわいてきたのが「自分の会社を持ちたい」という事業欲。 「当時は自分の力を過信していたのですね。"大手企業の看板があってこその自分"ということを忘れていました」。でも、これはあとになって気づいたこと。

会社を退職し、自ら興した事業は清掃業です。主な仕事は喫茶店や工務店から発注された新築住宅の掃除。「何の後ろ盾も看板もない自分が喫茶店へ行き、定期清掃の仕事を下さいという。相手にしてみれば、まずその人間が信用できるかどうか…。簡単にOKとはいきませんよね」。それでも粘り強い営業活動で契約件数は増えていきました。 ところが、ここ数年の不景気で、主軸となる得意先工務店が相次いで倒産。安藤さんもそれに巻き込まれてしまいました。「会社を閉じると決めた時は、本当に悔しかったですね。しかし大きな借金を抱えてからでは遅すぎます。やめるなら今、と決断しました」。

再就職にあたっては、真っ先にタクシー業界が思い浮かび、「ならば名タクに」と、何のためらいもなく決めてしまったそうです。サラリーマン時代、自営時代を通して大企業に身を寄せる心強さを経験したからです。しかも名タクには歴史があり、先輩たちの築いた信用もあります。「名タクというのは、若い女性やお年寄りにとって、一番信頼ができ、安心して乗る事ができるタクシーのブランドなんですね。仕事を通して、今このことを実感しています」。

仕事にも少し余裕が生まれた今、当面の目標は"頼りになる先輩"になることか。自分も先輩たちに育ててもらっているから−が、その理由でした。