この記事は2002年3月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

小型貸切バス&ジャンボタクシーで行く

ジャンボ1日ドライブ!

国宝の犬山城と茶室如庵、
からくり人形、名物料理。
早春の風に誘われるまま、
城下の風情と文化にひたる。

  戦国期には水陸交通のかなめとして、合戦の拠点となった犬山市。天守閣、有楽(うらく)苑など由緒ある建物や土蔵造りの商家が点在し、散策には事欠きません。とりわけこれからは桜の季節。名物の田楽を肴にビールで乾杯。運転無用のジャンボタクシーならではの酔い心地をぜひ!
二つの国宝の美に触れる

 国道41号線を北上、五郎丸交差点を左折して犬山市内へ。看板を目印に緩やかな上り坂を走ればそこが犬山城。名古屋からわずか1時間のドライブです。 1537年に造営された犬山城は、織田信長の叔父、信康が初代城主。江戸時代以降は成瀬家へと移り、今や全国で唯一の個人所有の城として知られています。有名なのはそれだけじゃありません。なにより国宝の天守閣の優美さ。かの荻生徂徠が美しさに圧倒されて、唐の李白の詩をなぞり「白帝城」と命名したほど。

 三層四階の最上階からの眺めがまたすごい。すぐ真下が日本ライン・木曽川で、天然の防備が万全。急勾配の狭い階段をふうふう上ってきた観光客も、その絶景に大歓声をあげていました。

 犬山城のふもとは安産や長命の神さまとして信仰を集める針綱神社。そこから数分下れば、もう一つの国宝、有楽苑の茶室「如庵」が。

 名鉄犬山ホテルの閑静な敷地内にある有楽苑は、信長の実弟、織田有楽斎にちなむ敷地4000坪の大庭園。武人よりも茶人の道を選んだ有楽斎が京都に建てた茶室が如庵で、変遷の後、昭和47年にこの地に移築されたもの。

 入母屋風の屋根に土間庇。無駄のない端正なたたずまい。石と植え込みの影模様を通して、外観を見つめるだけでも、何かしら時間を忘れ、心が鎮められる気がします。3月21日から5日間は特別公開として、室内が開放されますから、わびの精髄に触れる絶好のチャンスですね。

 如庵ばかりではなく、苑内も見所はたっぷり。白砂に映える椿、呉竹、月見の石台。ヒメウツギ、シボリオトメ、ムラサキシキブなど300種の茶花が咲く茶花植物園。とくに桜の老木が咲きそろうこれからの情趣は、まさに値千金。入り口に投句ポストがしつらえてあるのも、心憎い演出でした。



犬山の歴史と名物菜めし田楽を堪能

 犬山といえば4月6,7日からの犬山祭も有名です。1635年から続く針綱神社の祭礼で、町内それぞれの趣向を凝らした車山(やま)がそろい踏み。からくり人形の演技に注目が集まります

 神社そばの犬山市文化史料館では、弥生時代からの当地の歴史を紹介していますが、とくにロビーに展示する車山が見もの。そのけんらんさは祭りの迫力をうかがうに十分でしょう。さらにからくり人形見物なら、お向かいの別館「からくり展示館」へ。木偶師(でくし)7代玉屋庄兵衛作の茶運び人形など多彩なからくりの展示や、9代玉屋庄兵衛のからくり細工の実演公開も楽しめます。

 さてお待ちかねの昼食は史料館から車で数分、犬山高校横の松野屋へ。菜めし田楽の専門店で、遠方からもおなじみが訪れるしにせです。まずは「いも田楽」でビールを一杯。味噌と山椒の風味が食欲をそそりますね。人気の田楽定食は豆腐田楽。それに菜めし、湯葉の吸い物という取り合わせ。豆腐の香ばしさと爽やかな菜めしが絶妙、さすが人気店の味でした。



締めくくりは可憐なカタクリの群生地へ

 腹ごなしには散歩がおすすめ。犬山城の正面から延びる本町やその周辺は、城下町の風情がいっぱい。墨のようにくすんだ土蔵塀の旧家、和菓子屋、竹細工やガラス工芸店など、古い町並みにぴったりの店構えでそぞろ歩きを楽しませてくれます。

 ところで春を告げる花といえば、桜のほかにもう一つ、可憐なカタクリも捨てがたいですね。そこでドライブの仕上げに群生地へ立ち寄りました。国道41号線を美濃加茂方面へ20分ほど。日本ライン川畔に建つホテル江陵閣が目印。そこから竹林の小道をぶらぶらと鳩吹山のふもとまでほんの数分。そのあたり一面がカタクリの群生地。薄紫の花びらが咲き乱れるのは3月下旬からの1週間。カメラ持参でぜひどうぞ。



●今回のコース

 国道41号線をひたすら北上し犬山市へ。城下町を巡り、再び41号線で可児市土田のカタクリ群生地へ。全行程80キロ。ジャンボタクシーは1時間当たり6840円。また小型貸切バスも用意されているので、お気軽にお問い合わせを。
рO52・331・4888(直通)
●犬山城
午前9時〜午後5時。無休。入場料は有楽苑と共通で大人1100円。
рO568・61・1711
●有楽苑
午前9時〜午後5時。無休。希望者には呈茶も(500円)。なお3月21日〜25日は如庵の春の特別公開開催。入園料、呈茶料含み当日券1900円。前売り1700円。
рO568・61・4608
●犬山市文化史料館
(別館)からくり展示館
午前9時〜午後5時。無休。観覧料100円(中学生以下無料)。
からくり展示館では毎週金・土曜日、9代玉屋庄兵衛によるからくり細工の実演公開もある(午前10時〜午後4時)。
本館0568・62・4802
別館0568・61・3932
●松野屋
午前11時〜午後7時。木曜日定休。豆腐田楽と菜めし、吸い物の田楽定食1000円。ほかに里芋のいも田楽550円もおすすめ。
рO568・61・2417