この記事は2002年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

小型貸切バス&ジャンボタクシーで行く

ジャンボ1日ドライブ!

湖上をわたる風に
吹かれ、水郷の町を
そぞろ歩き。歴史、情緒、
名物料理を堪能する。

  琵琶湖の東、西の湖一帯は日本一の水郷地帯。景観に恵まれた近江八幡市は近江商人のふるさととしても有名です。またお隣の安土町は信長が天下を夢みた一大拠点。歴史の香る町を巡り、琵琶湖名物・鯉料理や近江牛に舌鼓。仲間たちが勢ぞろいのジャンボタクシーなら、盛り上がること請け合いです。
ロープウェイで近江の眺望を楽しむ

 名神高速八日市インターから30分。近江八幡の観光拠点ともいうべき白雲館へ。

 ここは明治10年に建築された八幡東学校を解体し復元した洋風の建物。威風が感じられる建物内部には物産展示コーナーやギャラリー、観光案内所が設けられていますから、情報を入手するにはもってこい。

 しかも主な観光ポイントは白雲館を中心にしていずれも徒歩圏内。モデルコースを教えてもらって、まずはロープウェイで八幡山山頂へ。

 そもそも近江八幡は豊臣秀吉の甥、秀次が天正13年(1585)年に開いた城下町。あの本能寺の変のあと、安土の商工業者たちをこの地へ移し、標高286メートルの八幡山に城を築いたのが始まりです。

 ゴンドラで4分ほどの頂上にはその城跡とともに、秀次の母が創建した村雲御所瑞龍寺門跡が。400年前の面影を残す石垣伝いに一周すると、眼下には整然と並ぶ近江八幡の瓦屋根。すぐ横には琵琶湖が広がり、そこから緑の帯のような運河が延びて町並みを縫っています。

 この整然とした町並みと運河が、秀次の手柄なんですね。信長の施策、楽市楽座を受け継ぎ、さらに琵琶湖を往来する商船を運河によって町中に寄港させた。自由な商いを奨励して近江商人繁栄の礎をこしらえたわけです。



豪商の町並みと八幡堀を散策

 その近江商人の町並みは県内最初の伝統的建造物群保存地区。紅殻格子や白壁の土蔵が建ち並び、当時の繁栄ぶりがしのばれます。

 外観だけじゃ物足りない。内部もぜひという向きには近江八幡市立資料館(郷土資料館、歴史民俗資料館、旧西川邸)がおすすめ。歴史民俗資料館は江戸末期の商家を修復し、帳場の風景や当時の生活をそのまま再現しています。

 さて、屋敷町を通り過ぎれば、そこが全長6メートルにおよぶ八幡堀。琵琶湖の荷船が往来した運河ですね。堀沿いの遊歩道は柳の緑と花菖蒲。周囲には土蔵が建ち並ぶ近江八幡の代表的景観です。時代劇のロケに利用されていますから、ひょっとすると大スターに遭遇するかもしれません。

 この八幡堀沿いに建つ白壁造りのおしゃれな建物が「かわらミュージアム」。近江八幡は八幡瓦の産地としても有名で、その伝統の技や作品を展示するのが同館。新作のオブジェの企画展や瓦造りの体験工房、喫茶店もあり、観光客でにぎわっています。とくに意匠を凝らした精緻な鬼瓦はまるで芸術作品。屋根に飾るのが惜しいほどの出来栄えでした。



郷土料理を味わい、幻の天主を見物

 さてお待ちかねの昼食は八幡堀沿いの郷土料理「喜兵衛」で。肥料商として270年続いた商家の、黒漆喰に格子窓のたたずまいが、まるごと店内。いただいたのは喜兵衛膳。鯉の煮付けに昆布締め、近江牛に赤こんにゃく、生麩、シジミ汁。いずれも近江名物で、繊細な味付けは絶品。座敷でくつろぎ、初夏の風に揺れる庭の木々を眺めながら、ビールをごくり。運転無用のジャンボタクシーならではのひとときですね。

 食後はお隣の安土町へ。信長が天下統一をめざし天正7年(1579)年に完成させたのが安土城。築城わずか3年後の本能寺の変をきっかけに、焼失してしまいました。その城跡はのどかな水田地帯を見下ろす丘の上ですが、なんとその幻の天主(5・6階)が原寸大に復元され、ほど近い「信長の館」に展示されています。

 これは92年に開催されたスペイン・セビリア万博のために出品されたもの。金箔10万枚を張り詰めた外壁、大屋根、内部には狩野永徳の「金碧障画図」。豪壮華麗な天主が完成したとき、信長は家臣一同を呼び寄せ、喜々として披露に及んだとか。

 ちなみに安土城址にはテレビで人気の前田利家の住居跡も残っているそうです。時間に余裕があれば、城址への道をたどり、つわものどもの夢の跡をぜひ。再現された天主を眺めた後なら、感慨も一段と深まりそうです。



●今回のコース

 名神高速八日市インターから国道421号、県道26号線で近江八幡の八幡堀周辺へ。散策のあとは県道2号線で安土町の「信長の館」を見物。全行程270キロ。ジャンボタクシーは1時間当たり6840円。また小型貸切バスもありますので、お気軽にお問い合わせを。
電話052・331・4888(直通)

●白雲館
午前9時〜午後4時半。年末年始休館。無料。
TEL0748・32・7003

●八幡山ロープウェイ
午前9時〜午後5時。無休。往復で大人610円、こども320円。
TEL0748・32・0303

●近江八幡市立資料館
午前9時〜午後4時半。月曜日、祝日の翌日休館。入館料は一般300円、小中学生150円。
TEL0748・32・7048

●かわらミュージアム
午前9時〜午後4時。月曜日休館(祝日の場合は翌日)。入館料は一般300円、小中学生200円。
TEL0748・33・8567

●郷土料理「喜兵衛」
午前11時半〜午後2時半(夜は会席のみで要予約)。水曜日定休。鯉、近江牛、赤こんにゃくなど名産尽くしの「喜兵衛膳」2500円は洗練された味付けでおすすめ。
TEL0748・32・2045

●安土城天主「信長の館」
午前9時〜午後5時。月曜日、祝日の翌日休館。入館料は大人500円、学生300円、小人150円。
TEL0748・46・6512