この記事は2002年9月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

ハイ!名タクです

配車係から 伊藤敏幸配車係(25)

 中学のとき、アメリカ映画で通信士を見て、「カッコいいなあ」と。だから専門学校で無線を勉強し、自分で電波を扱えるこの職場を選びました。でも現実は甘くないなアと、今はちょっぴり。

 というのも無線局は5局あって、それぞれが250台のタクシーと交信しています。1局が「応答願います」と吹く(送信する)と、250台の声が一気に返ってくるわけですね。現実はそこまで極端じゃありませんが、例えば夜、「錦3丁目に1台」なんて吹くと、数十台から「○○号車、行きます」ってワッと返答がある。これはパニックしますよ。聖徳太子だって一度に7人の声が限度だったっていうのに。聞き分けたつもりで配車すると、遠い場所にいたのだったりして‥。

 ところが先輩の耳はすごい。「○○号車しばらくお待ちください、△△号車お願いします」って、ちゃんと聞き分けてさばいてるんです。僕も早くああいう耳になりたいなと。ちょっとしたミスが、すぐお客さまに跳ね返る仕事ですからね。お客さまにお願いしたいのは、降りられるときに必ず領収書をもらってくださいということ。万一、お忘れ物をした場合でも、車両番号が書いてあるので、見つかる可能性が高いんですよ。

配車係歴約3年。名古屋市出身。名古屋工学院専門学校電波通信学科卒業後、アンテナ関係の会社を経て99年11月入社。