この記事は2002年9月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。
私のタクシー体験 |
女優 野川 由美子さん 聞き手
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運転手さんがヤバそうなときは、どこかのアネゴのふりをします(笑)。
今年で女優生活40年を迎え、ますますパワフルな野川由美子さん。7月の名鉄ホール座長公演「ちょっといい女」でも、バイタリティあふれる舞台を楽しませてくれました。名古屋公演ではもっぱら名タクをご愛用いただくそうで、お褒めの言葉もたっぷり‥。 |
セリフは気持ちよく流れちゃうと、心にとまりません。 村瀬 7月の舞台を拝見して、非常に感心しました。あのパワー。男でいうなら馬力ですよね。女性の場合は‥。 野川 いや、女性も馬力ですよ(笑)。私は今年でちょうど(女優生活)40年なんです。で、今回は40周年の記念公演と思って、毎日とっても楽しくやらせていただいたんですよ。 村瀬 そうですか。ついつい引き込まれて、時間が短く感じました。 野川 うれしいお言葉です。 村瀬 観客を引っ張る吸引力というのが、舞台の一番の魅力なんでしょうね。 野川 (ご主人の)逢坂の書く本と言うのは、ともすれば難しいと、よく言われるんですけどね。セリフというのは気持ちよく流れちゃうと、お客さまの心にとまらないんです。「あれ、何でこんな難しい言い方するの?」というときのほうが、引っかかるんですね。 村瀬 なるほど。 野川 だから役者は意味をよく解釈しないと、言えないセリフがあるんですね。その代わり最後まで、少しも気を抜けないんですよ。だから私は楽屋に入る9時から、6時25分の終演まで、 村瀬 本当ですねー。美容体操やらなくても、痩せちゃうんじゃないですか。 野川 これがですね、汗はものすごいんですよ。でもお医者様に言わせると、何も考えないで、頭を空っぽにして出す汗じゃないと、痩せないんですって。 村瀬 ほお。苦労して流す汗はダメですか(笑)。 野川 そうなんですよ。 村瀬 野川さんが演じられた雲輪瑞法さんのお寺は、知多四国44番目の大宝寺ですね。私どももタクシーで巡拝するということをやっておりまして、地元では結構、親しみを持っていただいていると思うんです。 野川 あ、そうなんですか。ありがたいことですね。 村瀬 瑞法さんとは、相当長いお付き合いなんですね。 野川 初演からずっとですから、もう30年くらいですか。小田原にあるうちの自宅まで、車を運転していらっしゃるんですよ。知多から一人で、「来たよ!」って。そのくらいお元気なんですよ。 |
名タクさんは、まず挨拶が気持ちいいですね。 村瀬 こういう地方公演のときは、タクシーをご利用なさる機会も多いでしょうね。 野川 ホテルと劇場の往復は、必ずタクシーですね。で、これはお世辞でも何でもないですけど、名古屋ではほとんど名タクさんです。「お早うございます」から始まってね、「こんばんは」「ありがとうございます」と、気持ちいいんですよ。で、何が感心するってね、「メーターを倒させていただきます」とおっしゃる。「あ、恐れ入ります」と言うんですけど。 村瀬 やっぱり気分がいいですよね。 野川 そうなんですよ。この前も目的地のすぐ手前で渋滞しちゃったら、「ここでメーター切ります」とおっしゃる。いつも感じるんですよ。「すごいな」と。 村瀬 運転手は、野川さんと分かって‥。 野川 違います! 私、普段は一切化粧しないんです。これはね、私のポリシーなんですよ。化粧して、衣装着て、段々扮装していって、その役に入っていくんですね。だから普段はありのままでいたいと。ですからほとんど気づかれませんよ。 村瀬 そうですか。 野川 よそのタクシーはね、グチられるんですよ。お客さんが少ないとかね(笑)。それ聞きますと、こっちも落ち込んでいきますしね。
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