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街を流れるドナウのさざなみ。振り仰げばアルプスの白い峰々。この風光の中で、ハイドンやモーツァルトなど大音楽家を生んだウィーンは、ヨーロッパの芸術、学問の中心地。とともに先進的な福祉国家としても知られています。
福祉国家だから税金がうんと高い。収入の半分が税金と社会保険です。いくら働いても税率が上がるだけなので、収入を増やすより余暇を楽しもう、仕事は二の次という人生観が生まれるわけですね。
だから「ノンビリほどほどに」がウィーンの人たちのライフスタイル。タクシーもよっぽど急ぎの場合しか利用しません。もっぱら観光客、ビジネスマンがお得意さま。
流しのタクシーはありませんが、主要駅や繁華街ならタクシー乗り場が設置されていますし、電話でも呼び出すことができます。
ウィーンではすべてが個人タクシーですが、ほとんどが無線会社と契約しています。その無線会社に電話すればオペレーターが車のナンバーを伝えてくれます。ものの2、3分でやってくるから心配はご無用(無線料金はもちろん加算されますが)。
ところでこのタクシー、日本と違って、自動ドアではありませんからご注意を。とくに乗り場では、ドライバー氏はずっと新聞を開いたまま。ご自分でドアを開けて乗り込まないと、行列が長くなるばかりです。
タクシーは耐久性も燃費もいいディーゼルのベンツが多いですね。ドライバーは旧ユーゴスラビア人など外国人がほとんど。最近は黒人やターバンを巻いたドライバーも見かけます。
ですから「ノンビリほどほど」はタクシーに限っては当てはまりません。とくに深夜はドライバー氏の表舞台。取り締りのない区域ともなれば、まるでサーキットのように猛スピードでふっとばします。
実はタクシーは税金3割、社会保険2割の上に、さらに消費税2割を国家に献上しなくてはなりません。そのストレス発散の場が深夜の道路なのかも。
厳しい納税事情を思うと、ドアの取っ手が泥まみれでも、座席からスプリングが飛び出ていても、カーレースに直面しても、まあ許そうという気分になってしまいますね。
もちろんすべてのタクシーがそうではありません。運?がよければピカピカの車で、王侯貴族のお抱え運転手のような快適な運転をしてくれるドライバーもいますから。ウィーンにお出かけのときは、ぜひ運試しを1つ。
【ウィーンのタクシー料金】
通常時間(午前6時〜午後11時)は初乗り183.5mが2ユーロ。4キロまでは183.5
mごとに0.2ユーロ。それ以上は229.3mごとに0.2ユーロ。待ち料金は35.8秒ごとに0.2ユーロ。早朝深夜と日・祝日は割増料金。1ユーロはおよそ110円。 |

ウィーンのタクシー |
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