この記事は2003年12月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

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 使い捨てカメラやコンパクトカメラ、最近ではデジタルカメラの普及で、誰でも気軽に写せるようになった写真。しかしセンスを感じさせる写真や、人を感動させる写真となると、写す人の力量が出てしまいます。

 「シャッターを押す前に、一歩踏みこむ。これがよい写真を撮る鉄則です」
 こうアドバイスしてくれるのは、昨年10月に名タクに入社、営業係(乗務員)として頑張る川辺哲夫さん(54)です。川辺さんは写真の専門学校を卒業し、フィルムメーカーに勤務。のちに独立して写真店を経営するかたわら、自ら写真を撮りつづけてきた元プロカメラマンです。

 素人の写真は、周囲の景色をまんべんなく入れようとして、ポイントがボケてしまいがち。まず何を撮りたいかを決め、被写体に向かって一歩前進。その心構えが迫力のある写真を生み出すそうです。

 とくに人物の場合がそう。うんと近づくことで、豊かな表情の写真を撮ることができます。もちろん、ひと声かけてからカメラを向けるのがマナー。しかし「親しい人なら、いきなりカメラを向けて、びっくりした表情を撮るのも面白いですよ(笑)」

 若い頃は、芸術的な作品を撮りたいと、わざと歪めたような写真を撮っていた川辺さん。 それが、いつの頃からか写真の持つ記録性に惹かれるようになってきました。「その時代のその一瞬を永遠に留め、後世の人も見ることができる。これは素晴らしいことだと思うのです」

 対象は自然や街などいろいろありますが、いま興味を持っているのは人間。「今まで親、兄弟の写真など撮ったことはなかったのですが、人をいつか滅びるものとしてみると、その一瞬一瞬の生きざまを記録しておきたい。そう思うのです」

 今はタクシーの仕事に一生懸命で、残念ながら写真のほうはしばしお休み。もっぱら「ニコンF」「ミノルタSR7」など、コレクションしている一眼レフの初期モデルを眺めるのが楽しみとか。

 「読者の方で、もし古いカメラをお持ちでしたら、ぜひ見せてください」とは、川辺さんからのメッセージ。

 また「今までに撮り溜めた写真を整理して、なにか形のあるものにしたい」。そんなプランも温めているそうです。



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