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▲変化に富んだ中庭の造形も見もの
(セラミックパークMINO)

▲ロビーのあちこちには魅力的な焼き物オブジェが
(岐阜県現代陶芸美術館) |
中央高速・多治見インターまでは名古屋からわずか30分。そのまま国道19号を10分ほど北上し、看板を目印に右折すれば、ほどなくセラミックパークMINOに到着です。
ここは平成14年にオープンした日本初の陶磁器産業と文化の複合施設。周辺は緑の森がひろがる丘陵地。そのなだらかな曲線に溶け込むような建物自体、すでに壮大なオブジェのよう。世界的建築家・磯崎新氏のデザインだけに、まさに一見の価値ありですね。
この芸術品のような建物の中は、展示ホール、国際会議場、レストラン、茶室や作陶体験館など多彩な施設がぎっしり。なかでもファンが多いのが岐阜県現代陶芸美術館というわけです。
とにかく美術館へと続く長い廊下がまず楽しい。天井は陶器の破片がまるで古代の化石のように埋め込まれ、壁沿いには、陶芸作品やポスターが。これだけでも素晴らしい展示空間ですから、本館への期待がますます高まるというもの。
同美術館は国内外の近現代の陶芸作品、それに産業陶磁器など暮らしに密着した実用品の展示が特徴。オブジェや人形や器などがゆったりとした空間の中に展示されています。とりわけ開催中の企画展「イタリアの現代陶芸」では、冒険的な彫刻のような大物作品の迫力がすごい。焼物の可能性の広がりを改めて思い知らされますよ、きっと。
美術館から中庭に出ると、作陶館わきの森に散策路が伸びていました。丘の上の展望台からは多治見市街が一望できますから、余裕があればぜひ。
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再び国道19号で市街へ。これも看板を目印に、虎渓山永保寺に立ち寄りました。臨済宗南禅寺派の名刹で、1313年に夢想国師がこの地に草庵を結んだのが始まりと伝えられています。
造園センス抜群の夢想国師が選んだ場所ですから、景観は申し分なし。土岐川の渓流が流れる周囲が中国の渓谷美に似ていることから、唐風に虎渓山と名づけられたくらい。
開山堂、観音堂はいずれも国宝。見事な池泉回遊式の庭園はいつ訪れても期待を裏切りません。
冬の陽射しと落ち葉を踏みしめる感触を楽しみながら池を巡ったあとは、市の中心街・本町オリベストリートへ。ここは明治から昭和初期をしのばせる商家や蔵が残るエリア。それが今では新たな観光名所に様変わりしました。情報発信館を中心に、レストランや陶磁器ショップ、陶芸ギャラリーが軒を並べています。
とにかく建物が個性的。街の交番の斬新なデザイン、江戸の大店のような陶磁器店など、歩くだけで気分が浮き立ちます。
古い町並みの中に新しさがピカリと光る。さすがオリベストリート。織部焼で有名な古田織部の斬新な精神が息づいているのがわかりますね。
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昼食はそのオリベストリートの一角にある「井ざわ」でいただきました。石臼手打ちそばの専門店。井戸水を汲み上げてつくるそばは、1時間に20食という貴重品。
これを多治見の陶芸作家の器でいただくという贅沢さ。人気のせいろと豚生姜焼き丼セットを注文しましたが、これが意外にぴったりの組み合わせ。香り高いそばの鮮烈なのどごし、柔らかく上品なご飯、いずれも絶品でした。
食後は市街から国道248号で瀬戸方面の市之倉さかづき美術館へ。市之倉は盃の生産量が日本一の地域で、今も多くの陶芸家や窯元が、ここを拠点に幾多の作品を送り出しています。
美術館には古墳時代の須恵器から明治にかけての盃、さらにイランや中国などの青銅、ガラス製の酒器までが展示されています。
面白いのは兵隊盃のコレクション。日露戦争時代から戦勝祈願の意味で大量に出回ったとか。盃の表や底には桜や飛行機、国旗などさまざまな図案が描かれています。
ミュージアムショップには多彩な「さかづき」が並んでいますから、お気に入りを手に入れ、それでお屠蘇をいただき、新年を祝うのも楽しそうですね。
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▲井戸水を汲み上げて打つソバは絶品!
(そば処 井ざわ)

▲ミュージアムショップでは盃をつかったミニ盆栽も人気
(市之倉さかづき美術館)
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中央高速・多治見インターから国道19号線でセラミックパークMINOへ。再び19号線で虎渓山永保寺、多治見市街、次いで国道248号線で市之倉へ。全行程120キロ。ジャンボタクシーは9人乗り、1時間当たり6840円と大変お得。小型貸切バスもありますのでお気軽にお問い合わせを。
電話052・331・4888(直通)

●セラミックパークMINO 岐阜県現代陶芸美術館
午前10時〜午後6時。毎週月曜日(祝日の場合は翌日)休館。観覧料は大人800円、大学生600円、小中高生400円。平成17年3月4日まで「イタリアの現代陶芸」ほか開催中。
電話0572・28・3200
●虎渓山永保寺
午前8時〜午後5時。拝観料無料。
電話0572・22・0351
●そば処「井ざわ」
午前11時半〜午後3時。午後5時〜午後10時(日・月のみ午後9時まで)。火曜日定休。せいろそばと豚生姜焼き丼1050円。ほかに穴子丼セット(1050円)、フォアグラ丼セット(1680円)。冬期限定の地鶏と季節野菜の土鍋(先付、そば、デザート付)3000円もおすすめ。
電話0572・25・6668
●市之倉さかづき美術館
午前10時〜午後5時。火曜日休館。一般400円、大・高生300円。中学生以下は無料。
電話0572・24・5911
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