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ニュージーランドの北方、南西太平洋のサンゴ礁の海に浮かぶ島々。島の群れは大小合わせておよそ100ほどで、これがフィジーの全国土。
この島のなかで一番大きなのがビティ・レブ島で、首都スバがあるのもここ。国の人口の4割がこの島に住んでいます。といっても全人口合わせても100万そこそこ、名古屋の半分にも及びませんけれど。
その代わり、景色は最高。青空と白い雲。透き通る海から吹く風がココヤシやバナナ、そしてサトウキビの葉を揺らす。住民もだからのんびり、屈託がない。
その屈託のなさはタクシーに乗ればすぐわかります。シートはホコリだらけ、破れっぱなし。ドライバー氏も車にふさわしく、汚れたサンダルが実によく似合っている。
料金は100%移動のためのみに支払う、というタクシー利用の基本精神が息づいているわけですね(笑)。
日本ならとっくにお役御免の車が、ここでは堂々の現役。ですから利用者は、よっぽどの事情のある住民か、観光客のみなさんにしぼられます。
もちろん特異なのは車だけ。乗り方はよその国とたいして変わりません。空港やホテル、商店街には乗り場があるし、レストランならタクシー会社に電話をかければOKです。で、ドライバー氏ですが、実はフィジーの国民は50%がフィジー人、40%がインド人で占められ、タクシー運転手はインド人の専売特許。それもおしゃべり好きな人が多いようですね。
総じてお客への質問が中心ですが、そのテーマたるや、まさにあけっぴろげ。結婚しているかどうか、出身はどこで兄弟は何人いるか、住んでいる家は借家か、持ち家か、とまるで国勢調査なみ。
でもこれくらいで驚いてはいけません。私自身の体験ですが、あるときなど、勤務を終えたタクシー運転手を同乗させ、その同僚を自宅へ送り届けてから、やっと私の目的地に向かったほど(笑)。このおおらかさがフィジーの真骨頂ですから、むしろ思い出深い観光旅行になるかもしれませんけれど。
現在、本島では世界的に有名な高級ホテルのオープンが相次ぎ、観光拠点としてますます注目を集めています。環境の整備とともに、あの破天荒? なタクシーも様変わりしていくと思うと、何やら残念な気もしますね。
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【フィジーのタクシー料金】
首都スバ市の中心街から空港まではおよそ8フィジードル。トラブルを防ぐためにも、あらかじめ料金を確認した上で乗車すること。1フィジードル=約75円。 |
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