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中島 義彦(西部営業基地)
数年前まで旅行社に勤務していた。
自動車メーカーの海外研修を担当してアメリカやヨーロッパを飛び回ったり、Jリーグのサッカーチームの豪州キャンプに同行したこともある。
こう書くと、じゃあさぞかし英語のほうは、と思われるだろうがそうではない。
なにしろ丸暗記の学校英語そだちである。単語さえ知っていればなんとかなると思い込んでいたから始末が悪い。「数の子」を英語で「ヘリンロウ」ということを知っていたって、あまり会話の役には立たない。
ロスアンジェルスのホテルでのこと。アネックス(別館)に泊まっていて、それを先方に伝えたいのだが、アネックス、アネックスと連呼してもさっぱり通じない。あとで知ったのだが、日本流に平板に発音するのじゃなく、最初の「ア」を強めないとダメなのである。アクセントの怖さを思い知らされた。
こうした恥がきっかけになって勉強のやり直しを始めたのである。先生はもっぱらテレビ。二カ国語放送のNHKニュースを録画して、毎日繰り返し聞いた。新鮮な情報がテキストだから、これなら飽きることがない。
ドライバーになってからもその習慣が続いている。名古屋も外国人のお客さまが増えたから好都合だ。言葉が伝わればお客さまにとっては安心このうえないサービスになるし、こちらも英会話の生きた勉強になる。
先日お乗せしたアメリカのお客さまはボストン育ちだった。ボストンなら大リーグの松坂と岡島だ。熱狂的ファンだそうで、日米野球談義で大いに盛り上がった。
愛知万博開催でナイジェリア大使ご夫妻の専属運転手を務めたのも思い出深い。
万博会場に向かう途中、大使がしきりにホテルへ電話をかけている。なにやら洗濯ものの指示のようだ。いやに気を遣われるなと思ったものだが、翌日に合点ができた。
夫人は目もさめるようなカラフルな民族衣装のいでたちだったのである。どうやらそれが電話の中身だったらしい。国の誇りを身につける喜びで、夫人は満開の笑顔である。ついついこちらの気分も日本晴れになった。
英語のおかげでコミュニケーションの世界が広がるのはやっぱり楽しい。同感される方は、テレビの二カ国語ニュースをぜひ。英語の天気予報を聞くだけでも勉強になるんだから、ほんとうに。 |
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