この記事は2008年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

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 名古屋の隣、七宝町の特産といえば、これはもう七宝焼に決まっています。独特の技法から生まれた深い輝きは宝飾品のように魅力的。この「尾張七宝」を丸ごと楽しめる施設が「七宝焼アートヴィレッジ」。作品鑑賞から製作実演、おまけに創作体験まで。1日過ごせば七宝焼がぐんと身近になること請け合いです。


明るくて開放的、居心地も抜群!


  七宝焼は銅などの金属の土台に、ガラス質の釉薬を焼きつけた工芸品。きらきらした輝きが仏教でいう七宝のように美しいと、これが名称の由来になりました。

 なにか日本生まれみたいですが、実は発祥は紀元前のエジプト。こちらには奈良時代に伝来し、幕末のころにこの七宝町で画期的な技法が開発された。それが独特の「有線七宝」の始まりとか。

 下絵に沿ってテープ状の銀線で輪郭をつくり区分ごとに釉薬で色づけ。これが有線七宝で、よりシャープに色彩が際立つというわけですね。

 「この伝統の尾張七宝の歴史や技法を国内外に伝えていこうと建設されたのがアートヴィレッジ」と同施設の小林弘昌さん。

 アートヴィレッジとは「ふれあい伝承館」と野外の「ふれあい広場」の総称で平成16年にオープン。見て、ふれて、学んで、体験してと、七宝焼きの魅力のすべてがつまっている、まさに「国内唯一の施設」といっていいでしょう。

 その「ふれあい伝承館」のホールはとても明るくて開放的。広場に向けて大きく開いたテラスから日差しがたっぷりと差し込んでくる。壁沿いには閲覧自由な美術書の本棚がある。くつろげるソファもある。カフェからはコーヒーの香りも流れてくる。そしてテラスの向こうは広々とした緑の芝生。なにやら気持ちが弾んでくる施設ですね。

自分だけのオリジナル作品に挑戦!


 展示室は伝統の名品や製作の道具を順序よく紹介。見ごたえのある作品が並んでいますが、中でも明治時代の花瓶には圧倒されました。高さ152センチの巨大なもので、乳白色の有線七宝が施されてある。その向こうは羽根を広げた孔雀が描かれた直径1メートルの大皿が。かと思えばマッチや煙草入れ、灰皿や鏡枠といった小物まで。この幅の広さも尾張七宝の魅力ですね。

 次は動態展示ゾーンへ。ここは製作工程の実演コーナー。くだんの銀線テープを下絵の輪郭に合わせる「植線」、それに色を付ける「施釉」、そして焼成、研磨まで。七宝焼は工程それぞれが専門職というのが特徴で、それだけに技法の奥深さも想像できようというもの。その作業をじかに見て、職人のみなさんから話を伺えるのだから、より理解が深まるのも当然ですね。

 その理解をさらに深めたいなら、自分で作ってみるのが一番。というわけで大好評なのが七宝焼体験教室。

 「ここでは施釉にチャレンジしてもらいます。その場で作品を持ち帰ることができるのも喜ばれています」と小林さん。

 キーホルダー、ストラップ、ブローチなど種類も豊富。1時間から2時間ほどで世界にひとつのオリジナルを入手できる寸法です。 また野外に広がる1万平方メートルの芝生広場では天体望遠鏡での「星空観賞会」が開かれ、これもヒット企画とか。夏休みには家族でぜひ。楽しめますよ。


DATA
七宝町七宝焼アートヴィレッジ
所在地
愛知県海部郡七宝町大字遠島字十三割2000番地
開館時間
七宝焼ふれあい伝承館/午前9時〜午後5時
ふれあい広場/午前8時30分〜午後9時
休館は年末年始と毎週月曜日と祝日の翌日。
入館料
無料。ただし展示室観覧料は大人310円、小人100円。
体験教室
受付は午前9時30分〜午後3時30分。
ペンダント1000円(1時間)から写真立て3000円(2時間)まで多種。
団体(10人以上)は要予約。
●7月19日〜8月31日
企画展「わが家の秘蔵七宝展4」開催
●8月2日・3日「夏の星空をみる」開催(ふれあい広場)
問い合わせ
Tel 052・443・7588


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